わんこさんから『正史』と『演義』の区別についてコメントいただいたので…
今回は、『正史』って何?『演義』って何?についてお話します。
「三国志」と一口にいっても、著名な小説なら吉川英治の『三国志』から北方謙三版
ハードボイルド『三国志』、漫画なら横山光輝『三国志』、『蒼天航路』、ゲームソフトはコーエー『三國志』シリーズetc.本当に沢山の「三国志」が私たちの身の回りにはありますよね。
しかし、普段「三国志」についてお話をするとき、また巷に溢れる「三国志」ものの小説、漫画、ゲームソフトなどなどは、ほぼ『正史』『演義』いずれかの中国生まれの書物をBASEとしています。
『正史』『演義』それぞれの特徴は、以下の通りです。
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=『正史』(『正史三国志』)=
著者:陳寿
製作年:290年前後
特徴:
●歴史家であり、また蜀の旧臣でもある陳寿(233~297年)が著す。
●三国時代終焉後
10~20年後に書かれたもの。
●当初は私撰として著述され、後に中国の
正史(歴史書)となった書物。
●歴史書という体裁上、魏呉蜀のうち
「魏」を正統な政権とする。
=『演義』(『三国志演義』)=
著者:羅貫中
製作年:1300年代
特徴:
●元末明初の文学者である羅貫中が著す。
●三国時代終焉から
約1000年後に書かれたもの。
●「中国四大奇書」のひとつである
歴史小説。その内容は、「七分の史実・三分の虚構」と言われる。
●巷間に語り継がれていた様々な物語を取り入れており、魏呉蜀のうち
「蜀」を正統な政権とする。
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ザックリと、『正史』は史実に基づいた歴史書で、『演義』は小説…と考えていただければOKです(あくまでも「敢えて言い切れば」ですが)。
何故『正史』と『演義』の区別が必要かといえば、2つの書物では記述内容に違いがあるからです。
頻繁に起こるのは、「『正史』にはそんなこと書いてないのに、『演義』には書いてある」という現象です。
1番有名なのは、「
桃園結義」の記述。
『演義』のオープニングを飾る、華々しいシーンですよね。
「同年同月同日に生まれんことは得じとも、願わくは同年同月同日に死せん」ってね。
しかし、『正史』には『演義』ほど具体的な記述はありません。「桃園」で誓い合うシーンはありません。
巷間で作り出された演出を、羅貫中が小説『演義』に取り入れたものと言えます。
…と、このように『正史』と『演義』には様々な違いがあります。
「三国志」の話をしたり、「三国志」ものの書籍などに接するときは、混乱のないように『正史』のことなのか?『演義』のことなのか?に注意すると、もっともっと「三国志」の深みにズブズブとはまっていけるかと思います。
AUTHOR: わんこ
DATE: 01/12/2004 22:30:12
なるほど、なるほど~。
疑問に答えてくださってありがとうです!
昔分厚い三国志の小説読んだことあるんですが、蜀メインだったんで演義だったのかな。
でも劉備はキライ、三国志といったら曹操でしょ~ ^^