横山光輝版『三国志』全60巻も壮観だったけど、
『蒼天航路』もまたホントに凄まじい作品だと思います。
人間の内面を激しく、えぐるように、しかも一人ひとり丹念に描写している稀有な作品です。
「ネオ三国志」とはよく言ったもんで、
曹操を物語の中心に据えつつも、同時代の人物、思想、事象etc.が虚飾なくふんだんに盛り込まれ、毎回新発見ばっかりです。
ドキムネの連続。
君に、胸キュン。…さて、『蒼天航路』といえば、原案を
李學仁が、漫画を王欣太が担当し協同するというスタイルで紡ぎ出されていた作品です。
「紡ぎ出されていた」と過去形なのは、原案を担当していた李學仁が1998年に急逝したので、それ以降は王欣太のひとり作業になったため…そう書きました。
これまで30巻が刊行されていますが、李學仁の逝去は15巻前後の「官渡の戦い」開始直後だったそうです。
何が言いたいかというと、李學仁の生前生後で『蒼天航路』の描かれ方が微妙に異なっているなぁ…と感じるということです。
原案者が異なるから当然といえば当然ですが…一言でザックリと表現すると、李學仁の『蒼天航路』は「フィクション」、王欣太の『蒼天航路』は「ノンフィクション」。
李學仁は、爆裂団、張奐(同名の人物はいるけれど、曹操に仕えたとかそういった事実はない)といった実在しない人物たちを多数登場させる「想像力」を武器に、『正史』において記述の少ない曹操の青年期を豊かに表現しています。
また、董卓の存在に対する解釈や、袁紹の奇天烈極まりない「王道主義」なんか…フィクションに限りなく近く、しかし『正史』への依拠から飛び出さない絶妙な表現は、彼ならでは!な感じです。
一方、王欣太の『蒼天航路』は、『正史』を隅から隅まで丹念に調べ尽くし、これまで「三国志マニア」しか知らなかったような人物たちにも、愛でるように生命を吹き込む…そんな表現が特徴だと思います。
そこにはフィクションや想像力よりも、『正史』をどこまでも貪り尽くし、そして産まれる小さな結晶を大切に描写するノンフィクションな姿勢が強く現れています。
合肥の劉馥、涼州の張既なんかが好例です。
…評論家めいて、
馬鹿馬鹿しい文章になりましたが、今後も『蒼天航路』は楽しみで仕方がない、ということです。
以上!
AUTHOR: kok
EMAIL: kok@pop02.odn.ne.jp
URL: http://koklog.oops.jp/mt/
DATE: 03/02/2004 07:07:19
はじめまして、kok@コクログです。
蒼天航路は私も大好きです。今まで読んだ中で一番好きかもしれない。
李學仁の生前生後での違いのお話、なるほどなーと思いました。「官渡の戦い」開始直後が分かれ目なのですねぇ。そうすると、あの孔明は王欣太のアイデアなのかな?
AUTHOR: kok
EMAIL: kok@pop02.odn.ne.jp
URL: http://koklog.oops.jp/mt/
DATE: 03/02/2004 07:07:19
はじめまして、kok@コクログです。
蒼天航路は私も大好きです。今まで読んだ中で一番好きかもしれない。
李學仁の生前生後での違いのお話、なるほどなーと思いました。「官渡の戦い」開始直後が分かれ目なのですねぇ。そうすると、あの孔明は王欣太のアイデアなのかな?