最近、『正史』「呉書」を読んでいるのですが、呉の末路は人間の欲望がドロドロしていて気分が悪くなりますね。
同じ末期症状でも、呉が魏蜀と異なるところは、宮廷内の政争が延々果てしなく続くことでしょうか。
とにかく皇族(孫氏)を中心として、外戚や佞臣、諫言を厭わない忠臣すらも巻き込んだ謀略、殺戮の渦渦渦…目を覆いたくなるほどです。
そんな中で一際異彩を放っているのが、孫権の娘・孫魯班。
名臣・全琮に嫁いだため、別名「全公主」ともいいます。
彼女が、前代未聞の悪女なのです。
悪行の数々をザックリと列挙すると…
★皇帝・孫権の寵愛を受けた王夫人の悪口をことあるごとに孫権に吹き込み、太子・孫和失脚の遠因を作る。
★一時は太子に立てられもした孫和(前述「王夫人」の息子)を、孫和のお嫁さんもろとも自害に追い込む。
★共謀して悪事を重ねてきた妹・朱公主(孫魯育)を、仲違いの末に死に追いやる。
★朱公主を殺しただけでは済まず、その息子2人(朱熊、朱損)をも濡れ衣を着せて殺害。
★夫の従兄・全尚の一族に高位を与えまくり…しかし、全尚の血脈の多くは魏に寝返り、呉の軍事力に大きな打撃を与えた。
…などなど、呉末期にとんでもない悪の華が咲いたものです。
ただ、考えようによっては、むさ苦しいほど男主導の社会で展開される「三国志」の中で、それがたとえ「負」であろうと積極的に活動した女性としては特筆に値すると思います。
まだまだ気になる女性なので、このBLOGには今後もチラホラ登場するかもしれませんが、よろしく。