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三国志漂流

すべての「三国志」にLOVE&RESPECTが大前提。さらに自分の価値観や解釈でどこまで切り込んでいけるか…のんびりと「新しき三国志の道と光」を模索するBLOGです。

「魏諷の乱」の裏側 ~第4回 2代目は厳しいのじゃ~ 

いきなりですが
民明書房
…この4文字にピンと来ませんか?
男闘呼なら、その生涯で1度は目にしたことがあるはず。
あの伝説的漫画『魁!男塾』で出典元として引用されていた書籍のほとんどは、この民明書房から出版された書籍でしたよね。
その民明書房のすべてがわかる本
『民明書房大全』(宮下あきら著/集英社刊)
がなんと1年前くらいに出版されていたことを、最近知りました。
不覚にもまったく知らずたまたま本屋で見つけたので、即買いしました。
大充実の内容はというと…また次回へ。

さて今回から3回に亘って、2つ目の問に対する結論とその理由などをやや詳しめに書きます。
「第1回 魏諷のように青臭く」で書いていた2つ目の問と結論の概要を、おさらい。

Q2.「高官の子弟ら」はなんで魏諷の乱に加わったの??
A2.間近な施行が想定されていた「九品官人法」という人事制度改革によって、自ら、そして子孫に残す地位が揺るがされることへの脅威を、魏諷に煽られたからというのが最大公約数的な理由だと考えます。
加えて、各人が負う将来への不確定要因を、魏諷によって巧みに突かれたこともありそうです。


まずは、魏諷と「高官の子弟ら」とが何故結びついたのか?
…その接点を探ることから攻めてみたいと思います。
ちょっぴり推理探偵風の展開。

◇◆魏諷側から接点を探ってみたり◆◇
繰り返しになりますが、魏諷は「相国府の西曹掾」という役職に就いていました。
この役職は「万機を治める」相国府(「総理府」みたいな役所)において「官吏登用」を担うもの。
つまり、魏諷はその役職柄から魏国の人事制度のあれやこれやに通じていたことが想像されます。
魏の人事制度に関する知識や情報は、他の魏臣の面々よりも一歩先んじていたこと…ココに魏諷が叛乱を主導できた理由の一端がありそうです。

◇◆高官の子弟ら側から接点を探ってみたり◆◇
張繍の息子・張泉、王粲の2人の息子、宋忠の息子…「魏諷の乱」を特徴付けているのが、これら魏に属する「高官の子弟」が叛乱に多数参画した事実。
彼らは何故叛乱に参画したのでしょうか?
着目すべきは「2代目」というKEYWORD。
突出した才能と業績とで成功した者の跡を継ぐ「2代目」という重み…歴史上でも
平清盛の跡を継いだ平宗盛
武田信玄の跡を継いだ武田勝頼
西武王国の堤オーナー
IT野球・野村克也の三男・カツノリetc.
「2代目」の重みと戦った幾多の人物と、その苦悩を私たちは知っています。
しかも後漢末当時、「共同体」の考えが想像以上に濃い当時の社会環境下で、張泉らが背負った「長」として一族の全生活を率い、共同体の盛衰を一手に握ることの重み。
許されない後退、失敗、のしかかる重圧、葛藤…
そこにつけ入る隙があり、巧みに突いたのが魏諷流アジテートの真骨頂だったのではないでしょうか?

◇◆叛乱首謀者・魏諷と叛乱参画者・高官の子弟らの接点◆◇
政権の中枢近くで「人事」に関わっていた魏諷。
「2代目」の重圧に耐えつつ、既得権や自らの地位を脅かす「変化」を嫌い、また「変化」に弱い「高官の子弟」ら。
両者を結ぶのは、「人事変革」というひとつの点です。
魏諷のクーデター未遂が起きた219年前後で人事に関する大事件といえば…
よし、わかった!220年の「九品官人法」施行です。
施行以降、隋の文帝により583年に廃されるまで、魏晋南北朝を通じて各政権における人事政策の基礎となった制度だから、これは数百年に1度といっても過言ではない大事件。
「郵政改革」「年金改革」…現代でも大きな変革であればある程、「希望」よりもまず「不安」が募るのが人情というもの。
とくに、既得権者にとってはなおさらです。

それでは、魏諷と高官の子弟との接点と考えられる新人事制度「九品官人法」とはどんな制度だったんでしょう?
そして「九品官人法」の内容の何処が、高官の子弟らを叛乱参画に駆り立てたのでしょうか?
次回はその辺に迫ってみます。

*******************
蛇足ですが…今回「2代目」について考えてみるときに、ペラペラと捲ってみた書籍を紹介します。
『中国財閥の正体』(宮崎正弘著/扶桑社刊)
現代中国の大発展の舞台裏に見え隠れする、共産党指導部の2代目たち「太子党」の実態を暴こうとする内容。
最終的には今回の記事にまったく関係がないのですが…一応ちょっぴりタメになったので。

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