
京劇『三国志「呂布と貂蝉」』を観劇して、感激しました。
「
TOKYO京劇フェスティバル2009」というイベントで演じられた4大公演のひとつです。
中国には京劇の団体がごまんとあるようですが、今回演じた「北京京劇院」は代表的な団体のひとつのようです。
呂布、董卓、王允、李儒は「国家一級俳優」が担当。
市川團十郎や松本幸四郎といった「紫綬褒章」クラスがゾロゾロ出演している感じでしょうか?
11:30開演に先立ち約30分前に会場に着いたので、パンフや三国志地図などを購入して席へ。
「B列」とチケットには書いてあったのですが、端っこに近いこともあったためか最前列でした。
観る前から胸高まります。
簡単な解説が会場に流れた後、幕が上がって「第1場」開始。
董卓ほかが宴席に居並ぶシーンから始まったのですが、俳優の方々を思いのほか近くに感じられ(実際5m程度先)、興奮。
※ちなみに、同じ回で観劇されていた三国志友だちのさかさんは、なんと最前列ど真ん中の特等席!!私以上に興奮されていたはず。
パンフを参考にして、簡単に劇の流れを紹介します。
第1場:人頭会
虎牢関の戦いの功労を労う宴席。遅れて来るなり呂布は反逆の罪で張温を斬り捨てる
第2場:計略を定める
連環の計(美人の計)を王允に告白され、困惑する貂蝉
第3場:小宴
呂布が貂蝉をひとめで気に入り、婚約までこぎつける
第4場:大宴
貂蝉の艶やかな舞に魅せられた董卓は、即座に貂蝉を連れ帰る
第5場:鳳儀亭
貂蝉を横取りされて董卓に怒りをぶつける呂布。しかし董卓は貂蝉を手放さない
第6場:郿塢
怒りが収まらない呂布に王允が囁く…良策があると
第7場:董卓を誅殺する
偽の詔で誘き出された董卓を、呂布が憎悪を込めて刺し殺す
めくるめく愛憎劇…貂蝉の美しさに見惚れたり、俳優の美声&ド迫力の声量に聞き惚れたり、李儒の道化振りに笑ったり、立ち回りに息を呑んだりと見所聞き所満載でした。
順不同ですが、感じたことなどを列挙します。
■「第2場」での呂布のテンションの上がりようったら、なかったです。私にとっては、一番の見所でした。
貂蝉を初めて見たときの眼の見開き方、口半開きで放心したように眺め続ける様、気分の高揚を表すかのような高い声、執拗に手を触ったり、冠に付いた長い雉の羽で貂蝉の顔を撫でてみたり…「第1場」で非情に張温を撫で斬りした姿とのギャップが大きく、普通のスケベなおっさん化していました。
■呂布の装いがピンクを基調として水色を配するような感じで、とっても清潔感がありました。
■「立ち回り」の見せ場で、なんと誤って呂布が戟を落としてしまいました…!弘法も筆の誤り。
■貂蝉がスゴイ美人さん!瞳がクリッとしていて、鼻がスラッと高く、顎は小さく、身体が柳のように細い…。随所で「流し目」攻撃を行うのですが、客席の私にも!!(思い込みじゃなく、多分)

■あややとかマエケンがやる、胸元でハートを作るあの仕草を、貂蝉がしょっちゅうしていたのが気になりました。
■董卓は顔を真っ白に塗っていたのですが、目尻が下がっているように見えて、なんだか好々爺な感じが漂い憎めませんでした。
■王允が随所で「しめしめ…」見たいな表情をするのが、却って悪人に見えました。董卓と呂布が情けないほど見事に貂蝉に溺れていく様と比較して。
■王允のことを皆して「ワンターレン」と呼ぶので、その度に『魁!!男塾』の王大人が頭の片隅に顔を出してきました…。
京劇本来の見方から逸脱しているようにも思いますが…鑑賞の仕方は自由開放。
『三国志「呂布と貂蝉」』、観に行って本当によかったです!
三国志の本場中国の人々が、どのように三国志な時代の事柄を解釈しているのか…の一旦を垣間見た気がしますし、そして何よりも、男の嫉妬は見苦しいということを痛感しました…あんな嫉妬はすまい。

※最後に2つニュース。
1.京劇『三国志「呂布と貂蝉」』は10月5日(月)まで、池袋の東京芸術劇場でやっています。チケットの有無はわかりませんが…。
2.2010年5月に『京劇三国志 赤壁の戦い』が公演されるようです。詳細未定、かつ随分先ですが、こちらも要チェックですね!