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三国志漂流

すべての「三国志」にLOVE&RESPECTが大前提。さらに自分の価値観や解釈でどこまで切り込んでいけるか…のんびりと「新しき三国志の道と光」を模索するBLOGです。

『ぼっちゃん 魏将・郝昭の戦い』河原谷創次郎著 

「三国志検定」やら「五禽戯」やら…書いている途中で放置プレー状態の記事がいくつかあるんですが…構わず、今回は読書について。

歴ドル(「歴史アイドル」の略ですよ、知ってますか?)の小日向えりさんがmixiで書かれている日記に、「歴史時代書房 時代屋」という歴史専門書店の記事がありました。
どうやらかなりお得な歴史モノが詰まった「福袋」があるとのことだったので、会社帰りにちょっと寄ってみました。
神田小川町店の「時代屋」です。
「時代屋」に行くこと自体は2度目なんですが、このお店、驚くことに2階すべてが歴史モノで埋め尽くされている、歴史好きには辛抱たまらんハライソです。
メインは日本の戦国時代に関するモノですが、書籍だけでなく様々な見たこともない歴史グッズが所狭しと並んでいて、ついつい夢中になってしまいます。
お目当ての「福袋」は1/5までということで既になかったのですが…ブラブラしていたら、思わずある書籍に目が止まりました。

『ぼっちゃん 魏将・郝昭の戦い』(河原谷創次郎著/学習研究社刊)という単行本。
『ぼっちゃん』画像
何だかホノボノとしたイラストが目を引く表紙に、「第13回歴史群像大賞最優秀賞受賞作」の文字が躍っています。
「郝昭の戦い」とくれば諸葛亮の北伐における「陳倉の戦い」とピンとは来ますが、よりによって「陳倉の戦い」かよ!?マニアックだなぁ…と、逆に読書欲がそそられ触手が伸びてしまいました。
はい、購入。

そこから、帰りの電車+夕食後の時間=計4時間程度で、なんと読破。
約250頁と決して短い小説ではないのですが…私史上、読破までの最短記録達成です。
それだけ一気に読ませる力のある小説でした。

ということで、これ以降「ネタばれ」含みながら、私の感じたことなどを書き連ねてみます。

1.デフォルメされた登場人物がキャラ立ちしていて読みやすいなぁ

恵まれた体格に、勇敢かつ沈着な性格
名声も昇進も凱旋も恩賞も求めず黙々と戦い続ける
墨子の守城術に長けた「涼州の守護神」:郝昭
郝昭の「侯子(ぼっちゃん)」であり主人公:郝凱
中国の「災厄」であり、蜀賊の首魁:諸葛亮
汗っかきで肥満体の大将軍:曹子丹(=曹真。曹子丹に「おデブ」のルビ)
厚顔無恥で死ぬまでダメ男の将軍:王の字(主人公は「王双」のことを終始こう呼ぶ)

といった、デフォルメされて個性が際立った人物が登場。
『正史』とかに慣れていると、人物の描かれ方が逆に新鮮だったりします。
他にも
洒脱な胡人:キリウス・リキウス・キリキウス(奇陸)
巴氐族の間者:李虎
など、郝昭を支える架空の人物(…ですよね?)なんかもそれぞれが見せ場をもっていて、読み飽きる暇がありません。

2.「籠城戦」というのは歴史小説のある意味テッパンなのかなぁ

「潜水艦モノ」の映画は外さない…とよく言われますが、歴史小説において「籠城戦モノ」は外さない気がします。
今回の『ぼっちゃん』以外にも、『のぼうの城』『墨攻』…あれこれだけ?まぁいいや、たしかにどれも一気に読み進められました。
「潜水艦モノ」が持つ退路のない閉塞感、駆け引きの緊迫感、浮き彫りにされる人間性…など、観るものをあきさせない要素が「籠城戦モノ」にも同じようにあるような気がします。
以前の記事でも触れましたが「陳倉の戦い」自体が、三国志な時代でも稀に見る白熱した「籠城戦」なのでテーマ選びもよかったんでしょうね。
「蒼井優」は出ませんが、「井欄」は出てきますよ。

3.それにしてもテンポがいいなぁ、何か映画を観ているよう

読後感が、『のぼうの城』にそっくりなんですよね。
こういう文章の書き方が最近のブームなんでしょうか?
基本的に登場人物や設定が明るくて、文章のテンポがよく、まるで映画を観ているように目の裏に描写が浮かんでくる…そんな感じが、『のぼうの城』に瓜二つ。

書いてみると感想も何だかバラバラしていますが、こんな感じです。
繰り返しになりますが、兎に角読みやすいので三国志な時代にいまひとつとっつきにくい方にオススメします。
また、人物設定は異論噴出するでしょうが、時代考証なんかは結構しっかりしているっぽいので、三国志マニアな方もご一読ください。

最後に、この書籍と出会うきっかけを与えてくださった歴ドル・小日向えりさんに感謝。
[ 2009/01/08 02:52 ] 三国志BOOKS | TB(0) | CM(0)
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