三国志漂流

すべての「三国志」にLOVE&RESPECTが大前提。さらに自分の価値観や解釈でどこまで切り込んでいけるか…のんびりと「新しき三国志の道と光」を模索するBLOGです。

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會本『風俗三國志』-プロローグ- 

前回はダラダラと前置きを書きましたが、今回から数回に分けて
 
 會本『風俗三國志
 惡失兵衛景筆作・不器用又平画

に関するあらすじ、特筆すべき箇所、個人的感想などを書いていこうと思います。
1回目の今回はとっかかりとして作品全体や絵師の紹介をザーッと行います。

☆★會本『風俗三國志』の概要★☆
天保元年(1830年)正月に刊行された全三巻の冊子です。
全ページではないですが、おおよそ文章と絵がセットになって展開。
惡失兵衛景筆が文章を起こし、不器用又平が絵を描いて上梓されました。
冊子といっても基本は「木版画」なので、版元の総指揮の元、惡失兵衛景筆の文章と不器用又平の絵を彫師や摺師が木板から紙に転写して制作されました。

この『風俗三國志』は当時相当好評を博したようで、1832年までの短期間に再板本や続編が刊行されてもいます。
今回取り上げるのは1830年の初編です。

ところで、題名の『風俗三國志』の頭に付けている「會本」、ご存じですか?
「會本」とは春画の絵本のことを指し、「えほん」と読みます。
艶本、笑本、咲本など様々な表記があるのですが、在野の春画研究家・林美一氏に敬意を表して私は「會本」という表記を使います。
「春画」とは性風俗を描いた絵画(浮世絵)のことなので、端的に言うと「會本」とは「エロ本」です。江戸時代のエロ本です。
江戸時代のエロ本は性器の表現に容赦がない、むしろ誇張してなんぼだったりもするので、私が高校生の頃、初めて春画を目にしたときに軽く引いた記憶があります。
ちなみに浮世絵は、幕末以降、西洋諸国に大量に流出したことによって海外に良質なコレクションが多く存在するという逆転現象が生まれていますが、春画に関しては西洋人のお口に合わなかったのか、比較的流出が少なかったようです。
ちょっぴり脱線トリオでしたが、會本『風俗三國志』とは、つまり

「『三国志』を扱った江戸時代のエロ本」

と思ってもらえれば結構です。

化政文化の徒花ともいうべき「三国志エロ本」の内容紹介に移ります。
まず以下の目次を見てください。

風俗三國志』全三巻目次

上巻
祭天地桃園結義
董卓起兵入洛陽
曹操謀殺董卓
孫堅奪玉璽
鳳儀亭呂布戯貂蝉
遷鸞輿曹操乗政
劉玄徳北海解圍
呂布轅門射戟
青梅煮酒論英雄

中巻
関羽千里獨行
関羽五関斬大将
玄徳敗走荊州
玄徳躍馬跳檀渓
玄徳新野遇徐庶
玄徳風雪訪孔明
定三分孔明出茅盧
長坂坡趙雲救幼主
張飛據水断橋
孔明舌戦呉羣儒

下巻
孔明智説周瑜
孔明計伏周瑜
七星壇孔明祈風
龐統献連環計
曹操三江調水軍
周瑜赤壁破魏兵
関羽義許曹操
其二
其三
曹操敗走華容道


「桃園結義」から「赤壁の戦い」まで、三国志ファンならボンヤリ想像ができちゃうような有名なエピソードがてんこ盛り。
目次だけを眺めると、そこらのお固い小説かと見紛う感じがします。

が、実際の内容は9割方エロです。

「祭天地桃結義」と題しながら、実際は劉備関羽張飛をもじった男女が組んずほぐれつ「ええもう、どうしよう、ふーふーふーふー、すーすーすー」などとアレにひたすら励むシーンが台詞メインの文章と絵でこれでもか、と。
本来は「契りの固い様」を表現するはずの「偕老同穴」という四字熟語をアレのシーンとセットで用いるなど、粋な表現もあったり。
粋な表現、謎解き的要素なども盛り込まれたタダのエロではない「三国志エロ本」からは、江戸時代の知識人、文化人の「三国志」に対する咀嚼力の凄さ、アウトプット時のクリエイティビティの高さ、そしてそれを受容する中上流階級層の民度の高さ(理解力、アソビ、器の大きさ)などを感じることができると思います。

あ、そういえば肝心なことを書き忘れました。
『風俗三國志』には、三国志の英雄は誰一人として登場しません。
董卓らしきエロ番頭や、諸葛亮らしきスケベ尼さんなどが、主にお布団の上で大奮闘します。

☆★絵師・不器用又平について★☆
「不器用又平」と言われて「ああー、彼ね!」とピンと来る人は、浮世絵ファンの中でもかなり少ないんじゃないでしょうか?
私は知りませんでした。
しかし、「不器用又平」はある有名な浮世絵師の別名なのです。
その浮世絵師とは「歌川国貞」。
「豊国にかほ(似顔)、国芳むしや(武者)、広重めいしよ(名所)」
※国貞が「豊国」と記されているのは、彼が「三代目歌川豊国」でもあるため。
と「役者絵」「美人画」「大首絵(顔をアップにした絵)」などで高く評価され、かつ作品数が1万点以上と浮世絵師中最も多くの作品を世に出しているといわれる浮世絵師です。
「三国志エロ本」を手がけている絵師は当時の超一流絵師なのです。
作品がメチャクチャ評価されていてかつエロにかけても天下一品となると、横尾忠則氏みたいなものです。
「三国志エロ本」といってもナメちゃいけないのです。本気、ガチです。

ということで、『風俗三國志』という作品がどういうものかイメージできましたでしょうか?
次回からは見出しごとに内容紹介をしていきます。
楽しみにしている人がいるかどうかは知りませんが…果報は寝て待て!
[ 2012/04/19 22:08 ] 10:江戸的三国志 | TB(0) | CM(2)
春画は当時の職人さん達の技術の集合結果だってのに、エロいで片付けられてしまうこの国の狭量さに哀しくなります。
多色を使う為には相当な重ね刷りをしなきゃいけないとか、しかも、色をはみ出させない様に合わせる技術とか…
[ 2012/04/22 02:29 ] [ 編集 ]
へっぽこ人生さんの仰る通り!どこかで触れようと思っていたのですが、春画では当時の技術の最高峰を目にできることも珍しくないんですよね。あからさまな性表現はたしかに色眼鏡で見られやすいですが。春画の展覧会って行く機会に恵まれないのですが…ぜひ生で拝みたいものです。
[ 2012/05/04 01:11 ] [ 編集 ]
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